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          メール・マガジン

     「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第073号      ’00−12−22★

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     足るを知る

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●年末が近づくと、

 

ちょっと憂鬱になります。 恒例と言うべきプリンター・メーカー

各社の新製品PR。  その方面の進化とは当分絶縁、と決意した

私も、やはり無関心ではいられない、、  これはストレスのもと。

 

カメラに収まった<色>、プリンターが描き出す<色>、どちらも

所詮<作りもの>ですから、どこかに具合の悪さが付いて回ります。

それを何とか写<真>に近づけたいと望む。  それが人情、、

 

人間とは擬似的に作り出した環境を<現実>として生きるほか無い

動物。  しかも前頭葉は常に「もっと、もっと」とあおり立てる。

<疑似写真>?は従って、実に人間的な楽しみだと言えるでしょう。

 

その楽しみをストレスにしないためには禅の教え、「われただ足る

を知る」で割り切れば良い、、 のですが、、 それが容易でない。

 

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●写真画像を趣味

 

とする私に良いプリンターは必需品。 <作品>の出来栄えを決定

づける最終段階の武器ですから、性能向上は大歓迎。 各社次々の

新製品発表に心を躍らせるのが常でした、、

 

と過去形で言うのは、昨1999年1年間の散々な経験と非USB環境

への(やむを得ざる)愛着から、「98年末現在の水準で満足する」

ことにしたからです。   <予告無く変更>もあり得ますが、、

 

 

アナログで撮ってデジタルで出力、という<ハイブリッド・フォト

グラフィー>の道に入ったのは96年春。  パワーマックの登場で

デジタル暗室をパーソナルに持つことが可能になったからで、

 

その時のプリンターは、アルプスMD2000S。 リボン目は邪魔だ

けど、重厚な画質が格別で、「写真ベースだが、別種のアート」と

称し、それなりの満足を味わっておりました。  ところが、

 

その年末、<写真画質>のエプソンPM-700Cが登場。  評価が

定まるのを待って97年春、無節操にもインク・ジェット派に転向。

 

黒白写真時代は光沢紙が嫌いだったのに、今度は「光沢が良い」と

感じる身勝手さ。  しかし、いかにも写真らしいし、、 何しろ

もとが写真趣味なんだし、、 と自分に言い訳しながら。

 

それで十分満足したつもりだったのに、「粒が見えない!」新製品、

と聞けばそれに気を引かれてしまう。  で、98年は-750Cの1年。

 

戦後の、物質文明の興隆と人生の上昇曲線がたまたま一致した我々

世代においては、車もカメラも、<新製品>は即ち<進歩向上>を

意味しました。  習い性となって無意識的、プリンターにも同じ

期待を抱いてしまったようですな。  それが災いのもと、、

 

*   *

 

一昨98年末発売、昨年初頭購入の-770Cで、<例外なき原則なし>

の教訓を痛烈に味わう羽目に陥りました。

 

インク粒はいっそう細かくなり、余白を狭く、即ち画を大きくする

ことも可能になった、、 が、肝心の<色>は?、、 まるでダメ。

 

それまでのストック画像を出力して愕然。  ?、死んぢまったぜ!

ならば、と新しく作り直し、これでどうだ?!  ダメダメ、、

 

色は冴えない。 インク、ガブ呑み。 もとが<自責>の精神構造

なので、私の使い方のどこが良くないのか、まず深刻に考え込んで

しまった。 次にサポートを散々煩わせ、ショウルームにも通い、、

 

エ社製印刷見本の比較で、-750と-770では<黒>の色の質が異なる

ことに気付きました。  目詰まりを防ぐ必要から、インクの成分

も変えたろう、それが色の違いに、、 と一応素人考えで納得、、

 

しかけたが、ちょっと待て。  理由が何だろうと、<変な色>は

やはり<変>に決まっている。  それをただ堪え忍ぶ義理は無い。

 

で、突き詰めて行くと、それは<グレー・バランス>の問題であり、

<補正>すべきもの、という結論に到達。  たまたま幸い、

 

*   *   *

 

インタネットでW研究所のツールの存在を知り、藁をも掴む思いで

購入。  以後約半年、期待に反した<雲を掴む思い>の毎日に。

 

作業手順は、まず-770で<カラー・チャート>を出力し、その中心

付近のグレー部分を<標準グレー・スケール>と突き合わせる。

 

-770のグレー・バランスが適正なら、チャートの中心部とスケール

の中心部のグレーが一致する。  しなければスケールを移動させ、

一致する位置を見いだす。  移動量、即ちズレは、<明るさ>と

<コントラスト>の数値で表現される。  この数値が、

 

-770に必要な<補正>の量。 即ち、<ディスプレー上でOK>と

した画をそのまま出力するのでなく、もう一度、フォトショップの

<明るさ・コントラスト>補正を前記数値で施して印刷するのです。

 

この場合、ディスプレー上の画質は当然<OK>からズレているが、

出力は正しいグレー・バランスで行なわれる、、 から、安心して

いて良い、、 はずなのだが、、 どうもそうはならんね、こりゃ。

 

<OK>からズラした分、印刷結果もズレてしまう。 我が-770の

必要補正値は<明るさ>、<コントラスト>、共にプラス。 当然、

ディスプレー画面はギラギラになる。  それを出力すると、、、

ハイライトのスッ飛んだギラギラ印画。  何じゃこりゃ?、の感。

 

これは即ちディスプレー発色調整良好の証明。 まさに WYSIWYG 。

<ディスプレー上OK>のままの出力画像の方がマシであることは、

私の視力と感性による限り、歴然です。  そこで

 

W研究所に見解を質すと、「グレー・バランスを補正して出力した

(歴然と良くない)画像の方が<グレーが正しく出ている>ことは

間違いない」のだと言う。  理論的にはそうなるんでしょうな。

 

しかし、グレーだけ良くても、全体としては<変>なんだよなあ。

だいたいその画のどの部分が、その<正しいグレー>なのかね?

目を皿にして捜しても文字通り<色々>で、分かりゃしません。

 

で、考える。  <そのグレー>が間違いなく存在するのは、、?

 

そう、カラー・チャートだ!  必要な補正量を調べた時、その

数値で補正したチャートを印刷して確認すべきであったのだ、と

気付き、改めてそれを試すと、、  うーん、

 

ニオイを嗅ぎ続けていると鼻が麻痺するようなもの、目を凝らす

ほど色は分からなくなります。 中心部同士が一番よく似ている

ようには思われるが、、 の程度。  全く自信が持てない。

 

画に戻って、いくつものサンプルで比較すると、グレーがどうで

あるかに関係なく、全体として自分のイメージに適った色で出て

来るのは、グレー・バランス<補正前>の方。  つまり、だな、、  

 

と考えたり、質問したり、試したり、、 で数ヶ月、結局W研式

の補正方法は、少なくともこの-770と私の相性を一致させるには

役立たない、と観念してオシマイにせざるを得ませんでした。

 

勉強にはなったけれど、作品的収穫は皆無の約1年。 同じ1年

でも、我が老い先短き人生での<1年>、これは痛かったなあ。

 

*   *   *   *

 

良い色が出ないだけでも-770は困りものでしたが、さらにメカ的

疑問も生じ、エ社のお奨めで工場へ送ること都合2回。

 

それが返されて来るまで、プリンター無しで待っているわけには

行かない。  前の-750は息子に払い下げた後だし、-770をもう

1台、という気にはなれず、、 で、2台目の-750を買うことに。

 

やがて-770は戻って来ます。  使わなければ目詰まりするから、

2台を並行使用せざるを得ない。  図らずも、性能比較テスト

に励む結果になってしまいました。

 

-700から-750に替わった時も色味の違いがあって、データを調整

し直さなくてはなりませんでしたが、それはいわば<濃淡差>で、

難しくはなかった。  それが-750と-770では<右と左>の違い、

調整は不可能、作り直しが必要。  とんでもない大仕事!

 

 <グレー>は<シアン:C>と<マゼンタ:M>の混合ですが、

 -750がM寄りなのに対して-770はC寄り。 そのCが醸し出す

 ドローンとした緑っぽさが-770の<冴えない>理由、のようで。

 

同じ<PM>シリーズで、この大違い。 同じように使えるもの

と思って買った客は、画像作業をすべてやり直せ、と強いられる

も同然。 大迷惑です。 発色傾向の違いに関し、何か断わりが

広告文の中にあったろうか?  私は気付かなかったが、、  

 

その<C傾向-770>で例外的にMがよく出たのは<青空>。 青

にMが混じっているのは承知だが、-750でほぼディスプレー通り

に出る<青>が、-770ではほとんど<紫>になってしまう、、

 

その点のアドバイスも欲しくて、工場送りの際、データ入りMO

や出力見本も提供。  工場ではヘッドを換えたり、底面中央の

ゴム脚を取り除いたりしてくれましたが、エッジの汚れが発生し

なくなっただけで、<色>には効果なし。  ついに1999年末、

 

エ社共々ギブ・アップ、悲しくも「-750Cオンリーで行こう」と

ハラを決めました。  後継機-800以降 OS7.6.1 では使えない。

もはや私は<見棄てられたユーザー>。

 

*   *   *   *   *

 

MacOS 7.6.1 でカタメることにした理由は様々あれど、いずれに

しても私の事情。  ただしそのため、USB化されたその後の

プリンターには、エ社品に限らず、一切手が出せなくなりました。

 

もちろんいつか<すべて>を最新式に改めることも無いとは限り

ませんが、そうすれば必ず良い結果が得られるという保証は無い。

そこまでして、もし良くならなかったら、、

 

もう再起不能、でしょうな。  それより、アテにはならないが、

その気にさえなれば未だ改善できる、という希望を残しておく方

がマシだろう。 愛するMac7500/100 の寿命が尽きるまでは、、

  

と決意して、爽やかにY2Kを迎えた次第。

 

**********

 

 

 

●<2台目の-750C>で

 

平安に過ごせるはずだった今年、こんどは何とデジカメで足踏み。

それもまた<CとM>問題。  まことに<色>の道はしつこい。

 

 

我がデジカメ初体験オリンパスC−1000Lは、あるセミナー

で伊達淳一先生が推奨なさったのを聞き、それにしてはノンビリ

と、消滅寸前、接続キット付き298、となってから買いました。

 

操作簡便、機能確実、色の良さ。 率直に感動しましたが、忽ち

メガ・ピクセル時代。 2500Lへの前進は当然だが、これも

十分コナレた値段になるのを待ったので、入手は本年5月早々。

 

で、張り切る、、 かと思ったら正反対。  手近に置きながら、

手に取る意欲がどうも起きない。  いつの間にか<失速>状態。

 

おい、どうしたんだ?  自己診断してみると、要するに原因は

<冴えない色>。  ピント良く撮れてはいる。  が、ピン!

と来るものが無い。  <脳>が嬉しがる感じがしない、のです。

 

同じメーカー、同じ<原色系>、なのに1000Lの色と大違い。

撮り比べたり色々な設定や補正を試みるうち、<楽しむ>道具で

<苦しむ>、、は大げさだが、<考え込む>ばかりになっていた。

 

*   *

 

フォトショップで補正し、1枚づつではOKに出来たつもりでも、

ずらり並べて眺めると、、 うーむ、やっぱり冴えないなあ!

 

言うに言われぬ、即ち得体の知れない、<澱み>が覆っている。

女房は、良く撮れてるわヨ、あなたがそう感じるだけ、と言うが、、

 

深くは気に留めない幸せな彼女流を羨むべきか、これほど違うの

が分からないなんてキミは、と蔑むべきか、、

 

彼女専用はFP1700Z。  コンパクトさと歯切れ良い作動、

加えてレンズの良さ、感心してやまない私ではあるが、発色は別。

 

あの妙に茶色っぽい<作られた色>。 彼女が不満に感じないか

と恐れていたのだが、何のことは無い、分からない人だったんだ。

 

インタネットの掲示板も覗いてみたけれど、1000、2500

ともに書き込みの量・質ともに驚くほど少なく、収穫無し。

 

*   *   *

 

状況打開の手がかりすら得られぬうちに、先頃、豪華版E−10

の発売。  急いで手を出す私ではもちろんないが、取りあえず

ショウルームを訪れ、試写させてもらった。  これが良かった。

 

解像力の素晴らしさは別として、大変Mの強い発色傾向、と判明。

持参した2500Lでも同じ情景を写して来たので、比較すると、、

おお、2500LのC色傾向が歴然。  またもや<右と左>!

 

見直すと、1000Lの発色はいわば<蒼み>。 <ツメタイ>

清流の色。 2500Lのは<生ぬるい>、アオミドロ的濁りの

色、、 その<濁り>をどうするか、で散々工夫を重ねたのだが、

 

1000Lの色との対比では、有効な手段が思い浮かばなかった。

E−10のM的発色と付き合わせて歴然、要はC色傾向への対処

で良いのだ、と漸く気付くことが出来たわけ。  それなら昨年、

 

-770のC色対策で得た諸ノウハウが生かせるぞ。  で、急速に

2500Lの補正が上手くできるようになりました。 やった!

 

<色バブル>で失われた2年、と悔やんでいましたが、全く無駄

ではなかったようですな。 どうやら我が物となった2500L、

これから盛大に使いまくって空白を取り戻すぞ。

 

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●以上を要約すると

 

1)他の人にとっては問題にならないほどの些細な事象も、

  ある人にとっては<無視できない問題>であり得る。

 

2)問題事象自体は些細であっても、その背後に解決容易

  ならざる原理が横たわっており、戦略的撤退しか道が

  無い場合もあり得る。

 

3)原理的進化は<それまでとは異なった結果>を生むで

  あろうが、それが必ず<より良い成果>だろうと期待

  するのは正しくない。

 

4)生じた新しい事象が良い傾向か否かを的確に知るには、

  また、生じた不都合を的確に解消する方途を知るには、

  <適切な比較対象との対比>が有効である。

 

5)<適切な比較対象>が何であるかを当初から知って

  かかるわけには行かない。 怠らず求め続けるのみ。

 

6)最終的には、経験の質と量がものを言う。  それを

  有する人はいるに違いないが、必ず巡り会える、適切

  に提供してくれる、とは期待すべくも無い。  結局

  頼れるのは<自分>である。

 

まるで問題解決テキストの<まとめ>を書き写したみたい。

こんな今さらでもないことに2年がかり。  やれやれ、、

 

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自分の欲望に由来すること、なら、自分で始末するほか無い。

そう分かってはいても、煩悩無尽。  誓願断、は困難です。

 

それに比べたら、CS課題の方が対応しやすいくらいのもの。

顧客が何を求めるにせよ、<自分>ほどキリ無しではないし、

それを突き止める技法( Rational Process !)もあります。

相当の満足度を達成することは可能、でしょう。  つまり、

 

仕事は Rational に処理できるが、人間自体は irrational。

私の<色>問題は<仕事>でないから2年もかかった、とも

言える。  サポートさんにも<迷惑な客>でした。  が、

 

少々悟りが開けたので、私における来年は多分はかどりが良い

と期待されます。 皆さんにおかれましても来年が<はかどる

年>でありますよう、遙かにお祈り申し上げる次第です。

 

                      ■竹島元一■

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